ローリークック『It's a beautiful day』インタビュー
Piratsuka Special
ローリークック『It's a beautiful day』インタビュー
「It's a beautiful day」に込められた美しき世界への祈り。
箆柄暦『七月の沖縄』通巻75号掲載
(2009年7月1日発行)
■ローリークック(ろーりー・くっく)
1963年、コザ市(現沖縄市)生まれの純ウチナーンチュ。1986年にR&Bバンド「THE WALTZ」を結成。県内のCMやTV番組で楽曲が採用されて注目を集め、95年に初のフルアルバム『WOO-TOO-TOO』を発表。ソロアーティストとしてもこれまでに計5タイトルをリリースしており、現在は県内外で積極的にライブ活動を行っている。
先日、コザのロックンローラー、ローリークックのソロライブを見た。アコースティックギター一本での弾き語りスタイル。店は小さなライブカフェだったが音響のバランスが良く店の人のこだわりが感じられた。こんな店での彼のライブにはおおよそハズレがない。予想通り演奏はヒートアップ。卓越したテクニックで奏でられるギターからは自在にフレーズがあふれ、少しざらついたソウルフルなボーカルが、ストレートに胸に突き刺さってきた。
キャッチーなメロディーに乗せて歌われるオリジナル曲は、オキナワングラフィティ的な明るいラブソングがある一方で、沖縄戦や基地問題など、沖縄を取り巻く過酷な状況を歌ったヘビーなものもある。それらはいずれも、ウチナーグチを交えた彼自身の〝等身大の言葉〟で表現されていた。ふと見れば、客席のウチナーンチュが一緒に曲をに口ずさんでいる。地元のファン達はずっとそうして、彼の歌に共感しながら人生を歩んで来たのだろう。
そもそもローリークックが八六年に自身のR&Bバンド「THE WALTZ」を結成したころ、沖縄のロックといえば洋楽のコピーが当たり前で、オリジナル曲を演奏するバンドはほとんどなかったという。しかしその後、県内CM等に彼らの曲が採用されると、〝自分たちの言葉〟で歌った彼らのナンバーは、陽気なR&Bサウンドの魅力とあいまって、若いウチナンチュ達を中心に圧倒的な支持を得ていった。以来、ローリークックは県内で「ミスターコザ」とも称され、リスナーはもとよりプロのミュージシャン達からもその才能を高く評価されている。
反面、沖縄以外でのライブ活動がほとんどなく、楽曲に沖縄音階や三線を取り入れることもない音楽スタイルゆえに、県外では沖縄ファンの間でも、長年〝知る人ぞ知る〟存在だった。だがここ数年、本人言うところの「来日ツアー」を行うようになり、昨年は日本ブルース界を代表するギタリスト・吾妻光良との共演も果たすなど、徐々にその名を知られるようになってきた。
そんな絶好のタイミングで、この夏、ソロ通算六枚目となる五曲入りのミニアルバム『It's a beautiful day』がリリースされる。大切な人と生きる喜びを歌うラブソング、沖縄が抱える社会問題に向き合う重めのロックナンバー、THE WALTZの未発表音源など、彼の多彩な音楽性を知るのに最適な一枚だ。中でもタイトル曲の「It's a beautiful day」は、彼曰く「若い音楽仲間の早すぎる死と、別の友人に子どもが生まれたこと、その二つの体験からくる思いを元に書いた曲」で、明るいメロディーの中に、命のはかなさと輝きを感じさせる切ない曲に仕上がっている。
彼はこのミニアルバムを、特に若い人たちに聴いてもらいたいと言う。「若いミュージシャンとセッションすると楽しいし、前向きで生産的な感じがして、すごく満足感があるわけさ。今、ライブハウスに足を運ぶ人が減ってるけど、未来のある若い人たちにこそ、もっと音楽を楽しんでほしい」。ローリークックが、思いを込めて世に放つ新作をぜひ手に取り、耳を傾けて欲しいと思う。彼の音楽は沖縄を知るほどに深い魅力を放ち、彼の音楽を通してより深く沖縄を感じることができるように思うのだ。
(取材・文/萩野一政)
ローリークック『It's a beautiful day』
オフィスローリー rolly_cooke@yahoo.co.jp
LOVE LAND RECORDS LLR0002
1,800円 2009年7月19日全国発売
【収録曲】
1. It's a beautiful day
2. Rebel Song
3. 無言の石
4. モーレ・モーレ
5. なまけ者のバラッド(ボーナストラック)
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